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これぞ大炎上!?那須山を紅く染める、狐伝説の祭りに密着!【イベントレポ】

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名勝地「殺生石」で毎年開催される御神火祭とは

ネットの世界ではしばしば炎上がみられるこの世の中。いまや有名人による大炎上を目の当たりにすることも珍しくはありません。だけど、あなたはホンモノの大炎上を見たことがありますか?

そう、正真正銘の巨大な火柱です。

那須湯泉(ゆぜん)神社は那須に温泉が発見された630年に創建された

こんにちは、タッキーです。
今回は私の大好きな那須のお祭り、「御神火祭(ごじんかさい)」をご紹介します。
まずは御神火祭と那須に伝わる狐の伝説、九尾(きゅうび)の狐についてお話ししますね。

皆さんは日本百名山のひとつ、那須岳(別名茶臼岳)をご存知でしょうか。今も白い噴煙を噴き上げる那須岳は、記録に残るだけでも中世から噴火が起き、多くの犠牲者を出してきました。

そこで、地元の人々が山の怒りを鎮めるために身を清め、那須岳のふもとにある那須湯泉(ゆぜん)神社に参拝。さらに無間地獄の火から採火し、「御神火」として崇めるようになったといいます。

那須連山の主峰、茶臼岳は白い噴煙を上げている栃木県内唯一の山

ちなみにこの無間地獄とは、地獄の中でももっとも苦しい世界といわれているそうです。

ひぇ~、怖いですね~。

おそらく無間地獄の火からの採火とは、火口のマグマから採った神の火という意味なのでしょう。

こうして始まった御神火は、いつしか五穀豊穣や無病息災を祈願する行事として定着していきました。

那須湯泉神社は源平合戦で平家側の扇の的を射た那須与一が、戦勝祈願をしたことでも有名

那須に伝わる九尾の狐伝説

たびたび噴火を起こしてきた土地の山岳信仰が、神話と結びついていくことは必然のようにも思えます。

那須に伝わる九尾の狐とは、九本のしっぽをもつ狐の妖怪で、中国の神話の生き物です。

えっ、しっぽが九本て、

重たくねー。

湯本にある九尾の狐像。金毛ではなく汚れてグレー毛になってはいるが、形はスマート

しかしこの狐、どういうわけか人を惹きつけるキャラクターのようです。

「NARUTO」や「うしおととら」「幽々白書」など、マンガ作品の題材として使われることが多いので、知っている方も多いのではないでしょうか。白い顔に金色の毛並みをしているので「白面金毛(はくめんこんもう)九尾の狐」という長いネーミングで呼ばれたりします。

なんでも強大な妖力の持ち主であり、すべての妖狐のなかで最強といわれているそうです。

つまりラスボス。

マンガのキャラクターに採用される理由がよくわかりますね。

九尾の狐をイメージしたコスプレでやって来た2人。若い世代にも御神火祭が知られるようになってきた

この神話に登場する九尾の狐。そんなにいいヤツではありません。というかむちゃくちゃワル者。

絶世の美女に化けて、中国やインドで時の権力者を惑わし、国を滅亡させています。それで、この妖怪が日本にもやってきちゃったわけです。

湯泉神社の脇参道からお祭りの会場である殺生石園地が見下ろせる

平安時代、鳥羽上皇の妻である玉藻前(たまものまえ)となった九尾の狐は、陰陽師によって正体が暴かれると、那須野が原まで逃げてきました。

追い詰められた九尾の狐は最後に矢によって射られ、石に姿を変えると、近づく人や鳥獣の命を奪う猛毒を出し続けました。

これが史跡「殺生石」の由来となっています。

園地の一番奥にある史跡「殺生石」

現在では、観光客が多く訪れる名所になっていますが、付近一帯は今よりもたくさん有毒な火山ガスを放出する場所だったのだろうと思います。

科学的な知見から説明できなかった時代には、神話と結びついてなんら不思議はありませんね。

ちなみにこの殺生石、室町時代には法力にすぐれた高僧、玄翁(げんのう)和尚が杖で一喝すると、3つに割れ日本各地に散って行ったそう。ひとつは会津、もうひとつは備前。そして残りが那須の殺生石。

何だかんだ言って、玄翁和尚、最強説。

芭蕉の句碑も残されている。

また元禄二年には松尾芭蕉が奥の細道の道中に訪れ、こんなことを記したといいます。


「殺生石は那須の温泉が噴き出る山の陰に有った。石の毒気はいまだもって収まらず、蜂・蝶の類が砂の色が見えないほど重なり合って死んでいる」


今では観光のお客さんが殺生石の前でにっこり記念撮影をしてますが、当時は近づくのも怖かったんでしょうねぇ、おそらく。

 

みんなで狐に扮し、いざ神の火を迎えよう!

さて。ごく簡単に言うと、御神火祭は九尾の狐伝説にちなんだ火祭りです。
会場に到着すると、殺生石から湯泉神社にかけて、顔に狐のペイントを施された人たちがうろちょろしています。

松明行列に参加するという皆さん。狐のメイクがきまってます
外国のお客さんも狐メイクでお祭りに参加

若い人たちだけじゃありません。外国の方からおばちゃん、おじさんまで、白い鼻筋と三本ひげのお顔があっちにも、こっちにも。

会場に来たら無料でペイントしてくれるので、ぜひあなたも九尾の狐になってください。

恥ずかしがっちゃいけません。
きっと「自分も御神火祭に参加しているんだっ」という気持ちになれますよ!

木道を奥に歩いていくと会場がある

殺生石は硫黄の匂いがする巨大な岩場で、木道を歩いてアクセスします。途中、千体地蔵があったりして、なかなかのインスタ映えスポットです。

木道の途中には芦野の石職人が1人で彫り続けている千体地蔵がある

特設の会場には、早くも来場者が岩場に腰を下ろしています。間違ってトンガッタ岩を選択してしまうと、あとあとお尻が痛くなってくるので、my岩は慎重に選びましょう。

自分はいつも折り畳み椅子を持ってこなかったことを後悔するのですが、今年も例年同様、すっかり忘れてしまいました。くそぅ。

会場はすでにたくさんの人で賑わっていた。岩に腰掛けながらお祭りのスタートを待つ
御神火の火の粉で山火事にならない様、消防隊が山に向かって放水していた

夕方、暗くなるちょっと前からお祭りは始まります。
最初に那須の語り部の女性が「九尾の狐」のお話をしたあと、三味線と尺八による、那須湯もみ唄がスタートします。力強い歌声が山全体に響き渡るなか、湯泉神社の方向へ来場者の視線が集まります。

那須や日光、茨城など、郷土の小唄が次々と披露された
山のすそ野に灯る松明の火が幽玄な世界をつくり出す

100名にものぼる白装束姿の若者たちが、松明の火を揺らめかせながら、ゆっくりと湯泉神社から会場に降りてくるのが見えます。

いよいよクライマックスが迫ってきました。殺生石前の岩場に座って見守っていた人たちの腰が、にわかに上がり始めます。

松明を手にした行列が大松明の前を取り囲む。御神火が点火されるときが来た

ぼんやりとした装束の白がはっきりと近くに現れ、1列に点々と灯っていた松明の明かりが大松明の周りを取り囲みます。なんだか見方によっては怪しい団体の儀式のようだなーなんて思っていると、いよいよ点火の時間が訪れました。
緊張の一瞬。

巨大な炎が周囲を明るく照らす

親玉みたいな松明を持った那須町長が火を近づけると、大松明は一気に火柱を上げ、高さ10メートル以上の炎となって燃え上がりました。

ファイヤー。

燃え盛る御神火の勢いに、居合わせた人たちから驚きの声が上がった

「うぉー!」という低い歓声。
いつ見てもこんなに炎がでかくて、大丈夫なの?って思うんですよね。初めて見た人は、想像以上の火柱だったんじゃないでしょうか。

山からの風に煽られて無数の火の粉が舞うなか、白面金毛九尾狐太鼓が始まる

すぐさま、大トリともいうべき、白面金毛九尾狐に紛争した若い衆が和太鼓の演奏を始めます。威勢のいい掛け声とともに「ドコドコ、ドコドコ」という力強い太鼓の音。

背後には大松明のファイヤー。

これが勇ましく、カッコイイんですよね。
那須温泉の振興として始まった白面金毛九尾狐太鼓は、いまや那須の伝統芸能になっています。

「ドコドコ、ドコドコ」
「ドコドコ、ドコドコ」

SNSの登場以来、地元でしか知られていなかった行事が拡散され、多くの人を呼び込む観光産業になり得る時代。

個人的に御神火祭は那須が誇る伝統行事として国内外にアピールできる、とても魅力的なお祭りだと思うんですよね。

巨大な火柱を見守る観客。炎って、なぜじーっと見てしまうんですかね

狐たちの「ドコドコ、ドコドコ」が一斉にビタっと止むと、会場から惜しみない拍手が送られます。そして場内放送が御神火祭の終わるを告げると、再び叩き始めた九尾狐の送り太鼓に合わせて、観覧の人々が会場を後にしていきます。

それにしても、今年も素晴らしい大炎上でした。毎年5月に那須温泉で開催されている御神火祭、ぜひ一度足を運んでみてくださいね!
そしてあなたも狐になりましょう。


コーーーーーーン!!

祭りの興奮冷めやらぬ

2019年のスケジュール(毎年ご確認ください)

15:00頃~   九尾の市
16:00~18:30 フェイスペイント
17:00~18:00 松明行列参加受付
18:30     那須の語り部「九尾の狐」
18:50 三味線・尺八と那須湯もみ唄
19:10 松明行列 出発
19:25 神事
19:30 御神火 点火
19:40 白面金毛九尾狐太鼓

会場地図

【御神火祭】

場所:栃木県那須町湯本(殺生石)
アクセス:旧那須小学校校庭に臨時駐車場を設置。臨時駐車場から那須湯本間の
シャトルバスを運行。※殺生石・那須温泉神社周辺の駐車場は利用できません。
開催時間:18:30~20:00
お問合せ:0287-76-2619(一般社団法人那須町観光協会)
URL:http://www.nasukogen.org/

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