レジャー

那須のコーヒーカルチャーを牽引する「EXTREME COFFEE(エクストリームコーヒー)」とは何か?【イベントレポ】

那須でコーヒーマニアが集まるイベントを。
那須の自家焙煎店と日本初上陸のエチオピアコーヒーを紹介した第1回

こんにちは、タッキーです。
本日は那須町で開催されたコーヒーイベント「EXTREME COFFEE(エクストリームコーヒー)」についてお届けしようと思います。

実はワタクシ、このイベントの実行委員をしております。つまり内側の人間なんですが、それでも客観的にみてけっこう面白くてトンガったイベントだなと自負しております。

そして那須のような地方の町から面白いカルチャーを発信していきたいと思ってエクストリームコーヒーをやっています。

だからコーヒーイベントという枠にとらわれずに、「那須 × コーヒー」というキーワードで地域を少し面白くできたらと思っていて、このナスモでもご紹介させていただきます。

エクストリームコーヒーの会場。黒田原駅前商店街にある

さて、那須は数多くのカフェがある町として知られていますが、コーヒーそのものに焦点を当てたカルチャーとしては醸成されていないし、他地域からも認知されていないと感じています。

だからもっとマニアックなことをやろうと「EXTREME(=極端な)」コーヒーイベントを企画したのがきっかけです。

地元の美味しいフードと那須の自家焙煎店が集結したイベント会場

ちなみに「EXTREME」という言葉、アメリカのスラングで「最高!」とか「超楽しい!」っていう意味があるんですよね。まさにピッタリのネーミングだと思います。考案したのは、国際的な資格であるSCA BARISTAでフランクリンズカフェ・コーヒーロースターズのオーナー、加地さん。エクストリームコーヒーを中心になって立ち上げた方です。

「FRANKLIN’S CAFE COFFEE ROASTERS」のブース

実際のイベントについてご紹介しますね。

エクストリームコーヒーは、毎回注目のコーヒーマンやテーマにスポットを当てながら、コーヒーを楽しむことができる、マニアックなイベントです。

コーヒーフリークの方はもちろん、美味しいフードブースも出店するので、誰もが楽しめるイベントになっています。

会場のすぐ近くにある「自家焙煎 那須珈琲 Cafe La Détente(カフェ・ラ・ディトンツ)」
ハンバーガーウニコ。那須黒毛和牛を使用したパティが自慢

現在までにイベントを2回開催しています。

第1回は18年10月5日に開催。テーマは「ROASTER’S SPECIAL」で、那須の自家焙煎をしているお店にご参加いただき、出店はもちろんのこと、ステージにて焙煎やコーヒーについて、各店主にお話をお聞きしました。

那須高原のお店「自家焙煎 Cafe FOOTPRINTS」
ステージでは各店主からコーヒーに対する思いをうかがった

さらに第1回の目玉として、ゲストで登壇した当時若干23歳の若者、柴田悠平さん。

エチオピアのウォッシングステーション(収穫したコーヒーチェリーの水洗場)に直談判で輸入交渉して、地元の人々の信頼を獲得、見事成立させました。

場所はコーヒー発祥の地といわれ、その語源となった地区、カファ。そこでG1(=欠点豆がほとんどない、最上級グレードの意味)シングルオリジンをさらに選別を重ね、彼自身のオリジナル・オリジンを確立しました。日本人としては前代未聞のことです。

エチオピアの現地で収穫したコーヒー豆の管理をするバイヤーの柴田さん

そうして誕生した柴田さんのコーヒーが「ガルテンビG1」です。19年に入荷したコーヒーは、フレッシュジュースを飲んでいるような、とびっきりの美味しさ。

いちコーヒーマンとして、那須のお客さんにご紹介できるのは、本当にうれしいことでした。

「日本人がひとりで自身のブランドを作ったのは、画期的なこと」と話す、フランクリンズカフェの加地さん(右)とバイヤーの柴田さん(左)

その柴田さんにフランクリンズカフェの加地さんが独自の視点で柴田さんを掘り下げていくという貴重なトークショーを開催しました。

東京でイベントを開いても十分成立する、マニアックなコーヒーイベントを那須から発信する。それが、エクストリームコーヒーの特長でもあります。

エチオピアの現地映像やトークショーに聞き入るお客さん。関心の高さがうかがえた

会場は那須町にある黒田原駅前の商店街にある、空き店舗スペース「みどりや」にて。当日はトータル100名近いお客さんに来場いただき、熱気に包まれていました。

生産現場の映像と生の声を届けることで、普段わたしたちが飲んでいるコーヒーについて、より理解を深めていただく機会にもなったと思います。

ここで第1回目に出店されたお店をご紹介しますね。

【ロースターブース~自家焙煎店~】

  • FRANKLIN’S CAFE COFFEE ROASTERS
  • 自家焙煎 Cafe FOOTPRINTS
  • 自家焙煎 那須珈琲 Cafe La Detente
  • 珈琲焙煎所 新川屋

【フード&ドリンクブース】

  • 遊行茶屋
  • Hamburger Cafe UNICO
  • COFFEE STAND PALKI
  • Music Cafe & Bar WORLD RECORDS
  • クレープキャビン

 

第2回はパナマゲイシャの飲み比べ
ほかではやらないことをするのがエクストリームコーヒー

19年4月に開催された「パナマゲイシャスペシャル」

第1回目が大変好評で、今年は春と秋の2回開催することになりました。そして19年4月19日に「EXTREME COFFEE ’19 SPRING」が開催されました。

第2回目のテーマは「パナマゲイシャスペシャル」。コーヒー業界で注目を集める中米パナマで栽培されている、ゲイシャコーヒーをフィーチャーしました。

「BRISA-Cafe de Panama」ブースで提供したゲイシャコーヒー

ゲイシャコーヒーを知らない方もいらっしゃると思います。昔、パナマに渡った日本人が栽培に携わり、現地の農園で働く人々から日本人にちなんで、ゲイシャと呼ばれるようになった。そんなことを想像してしまいそうです。

最初にご説明しておきますが、ゲイシャコーヒーは日本とも、芸者とも全く関係ありません(笑)!!

パナマの農園で栽培されているゲイシャのコーヒーチェリー

ゲイシャとは品種の名前で、もともとはエチオピアのゲシャ村で発祥しました。それが中米コスタリカに渡り、お隣りの国パナマに持ち込まれるまでの過程で言葉が訛って「ゲイシャ」と呼ばれるようになったのです。

パナマの農園主によって再発見されたゲイシャは、2004年の国際オークションで、当時ラ・エスメラルダ農園が、1ポンド(約450g)あたり21ドル(現在のレートで約2,350円)という最高落札価格を記録したことで有名です。

フローラルなアロマと柑橘系を思わせるフレーバーで注目を集めたパナマゲイシャですが、日常的に飲むコーヒーとしてはとても高価です。

コーヒーは同じ生産国内でも、農園によって品質や味の個性が変わってくる
※写真はイメージです

そんなゲイシャをオリジン別に飲み比べてしまおうという贅沢な企画が、第2回目のテーマ「パナマゲイシャスペシャル」です。しかも、ゲストは第1回のエクストリームコーヒーにお客さんとして来場されていた方をお呼びしました。

その人こそパナマのコーヒー豆輸入を手掛ける「BRISA & TIERRA」というブランドを立ち上げた、バイヤーの山口さんです。

コーヒーチェリーの種がコーヒー豆。水洗したり、乾燥させたりして輸出される
※写真はイメージです

今回は3ブースでのゲイシャコーヒー飲み比べを用意。
ひとつは山口さんの「ラマスタス農園 エルブーロ ゲイシャ ナチュラル」を提供する「BRISA-Cafe de Panama」ブース。

もうひとつは自分のお店「那須コーヒースタンドパルキ」ブースで「ドス ヘフェス農園 ゲイシャ ナチュラル」。

そして3つ目が「出張コーヒー屋さん micro cafe」さんが提供する「ドンパチ農園 ゲイシャ ウォッシュド」です。それぞれに個性的なゲイシャをお客さんに味わっていただきました。

3ブースでオリジン別のゲイシャを用意。多くのお客さんに味わっていただいた

そして、山口さんが19年1月にパナマの現地を訪れたときの映像をご覧いただいたあと、山口さんと加地さん、司会のタッキー含む3名によるトークショーを行いました。

パナマ現地で山口さんが撮影してきたショートムービーを上映

山口さんがちょうど収穫のピークを迎えたパナマの農園を訪問。世界的に有名なエリダ農園のオーナー、ラマスタスさんに直接会って視察した話など、貴重な現地のお話が聞けました。

面白かったのはゲイシャを栽培している地域、バルー山の麓に広がるボケテ地区と那須の気候的、地勢的な類似性についてのお話でした。

山口さんが訪れたパナマの農園のひとつ。心地よいブリッサが吹き抜ける

「パナマは太平洋と大西洋の気候がちょうど交わる奇跡的な地形になっていて、ブリッサといわれるそよ風がいつも吹いているんです。那須も那須岳から風がいつも降りてきますよね。標高1700m以上でコーヒーが栽培されるバルー山は、パナマコーヒーの明るい酸味を育んでいます。バルー山に向かって走る街道は、那須岳に向かう那須街道を連想させました」

トークショーのようす。パナマの風が吹き抜けるようなお話が聞けた

那須で飲むコーヒーが美味しいという山口さん。那須でコーヒー豆を栽培することはできないけれど、パナマという生産地と消費地である那須をつなぐ存在として、ブランディングしていきたいとのお話をお聞きすることができました。

スイーツを販売した「Love Labo(ラブラボ)」さんのブース

実際に飲み比べでは、山口さんが買い付けたエルブーロ農園のゲイシャの生豆をFRANKLIN’S CAFE COFFEE ROASTERSの加地さんが焙煎し、BRISA-Cafe de Panamaブースでお客さんに飲んでいただきました。

パナマと那須のコーヒーマンのコラボレーションを体験していただけたのではないでしょうか。

那須で焙煎されたパナマゲイシャをお客さんに飲んでいただいた

それにしても、コーヒーって面白いと思うんですよね。

赤道から南北25度が生産される地域になっていて、特殊な環境を除けば国内ではほとんど栽培することができません。だけどワインと同じように、たくさん愛好家のいる飲み物です。

那須で採れる野菜やお米のように地場産の農作物ではないけど、手元にやってきたコーヒーから世界のコーヒーとその生産者に思いを馳せている。

そう、コーヒーの好きな人たちは、心の中で世界を旅しているのです!

1杯のコーヒーが那須と世界をつないでいる

そして那須で素晴らしいコーヒーをお客さんに提供することを可能にしてくれる、バイヤーとの出会いです。

今回、那須で開催されたエクストリームコーヒーで、2人の素晴らしい日本人バイヤーに出会うことができました。次回はどんな国のコーヒーと人に出会えるのか、自分も楽しみにしています。

第3回は今年の秋にイベントを開催する予定にしています。このナスモでもイベントのご案内をする予定ですので、お楽しみに。

最後に第2回に出店していただいたお店さんをご紹介させていただきます。

【ゲイシャコーヒーブース】

  • BRISA-Cafe de Panama
  • COFFEE STAND PALKI
  • ミクロカフェ 出張コーヒー屋さん

【フード&ドリンクブース】

  • クレープキャビン
  • Hamburger Cafe UNICO
  • Music Cafe & Bar WORLD RECORDS
  • Love Labo(ケーキ、焼き菓子)
  • DELI & BAKE halte(デリカテッセン、焼き菓子)
今後のエクストリームコーヒーにもぜひご期待ください

〇会場:みどりや(黒田原駅前商店街)那須町寺子丙3-54

EXTREME COFFEE(エクストリームコーヒー)

毎回マニアックなコーヒーイベントを開催し、那須のコーヒーカルチャ―を盛り上げていく。現在までのイベント会場は黒田原駅前の空き店舗スペース「みどりや」にて開催。

イベントの詳細はフェイスブックページをご覧ください。
Extreme Coffee Facebookページ

 

この記事を書いた人

タッキー

那須コーヒーパルキ店主。さいたま市出身。 2016年那須町に移住。自家焙煎のコーヒー店を営業し、那須を取材する圏外ライターとしても活動。那須のフリーマガジン「森の子」の企画・編集。森での自給的暮らし、音楽活動、登山など。

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